5月から始まった歴史講座を受講していることもあって、久しぶりに「太平記」を読み直している。以前は拙家に関することを中心に考えていたので、その他の記述は流し読みしていたこともあり、今回読み直しをしていると、新たな発見が沢山あるように感じる。
抑々、「太平記」は原本が存在しておらず、幾つもの写本があり、何度も改定がなされてきたようで、刊本によって処々に記述してる量が異なっている。
最も著名なものは、「国民文庫本」と呼ばれるものだが、これは拙家の名前を濁音付きで書いた為、その濁音の位置がことなり、別人のように感じてしまう。
幸いなことに、「小学館」から出版されたものは、天正年に書き写したという奥書のあるもので、刊本の中で、一番よく考証されたものである。
この写本は、近江の守護佐々木氏一族に関することが、事細やかに書き加えられており、佐々木氏の影響を強く受けたことが窺われる。
拙家の名も正しく記述されているので、太平記の刊本としては、内容について一番信用できるものだろうと思う。
尤も、今川了俊による「難太平記」に、当初の本は誤りが多いことや、尊氏と今川の関係などについて、苦言を呈していることも考えておかねばならないだろう。
私が読んでいるこの小学館発行の太平記は、3段に分かれて記述されており、上には注釈が、真ん中に読み下し、下段に現代語訳がか書かれており、初心者でも楽しめる内容になっている。
太平記に限らず、中世に歴史物は何度読み直しても、毎回楽しめるのが、それが現実に歴史としてほぼ正確な記述であることであろう。
現代の読み流しする小説とは違い、何年たっても色あせない。正に「代々継承してゆく書物」であるからであろう。
私の場合は、平家物語、太平記は最も身近な歴史書である。