啓蟄に思う

奈良・郡山

毎年この時期になると「啓蟄」を思い出す。
父の誕生日が3月5日だったこともあるが、この頃から地中で冬眠していた虫達がぞろぞろと地上へ出てくる季節ということを表している。
元は中国から日本に定着した24節季の一つだが、本家の中国の方ではこういう習慣はとっくの昔に失われており、古代中国の文化は日本へ来なければ実感できないそうだ。

冬の間着ぶくれていた父も、啓蟄を期に着ているものを少しづつ脱ぎだしていた。
誕生日を祝っていたのがついこの間であったと思うが、今年で没後21年も経ってしまった。
晩年は介護施設のお世話になったので、自宅で誕生祝をしたのはもう25年も前のことになった。
いま振り返ってみると、もう少し何とか仕様が無かったかと心に残ることが多いが、当時は兄弟間の問題もあり、思うように出来なかったことは生涯心に残る。

今年は暦の関係で、啓蟄は3月6日になる。先日の春一番に続き、今日も前線が通過したらしく、夕刻には強風雨が続いた。この2~3時間前にようやく収まったようだ。
天気予報では明日はまた暖かくなりそうなので、久しぶりに曾祖父の墓所に詣でようかと思う。

春の日差しが一段と眩しくなり、つくしや菜の花・蓮華が咲き揃うのが待ち遠しい。

母が晩年に詠んだ句が入選し、句会で表彰されたものが沢山あるが、その中でも私が一番気に入っているものを掲載しておく。

ここに小さき 命ありけり つくづくし         美智子

つくづくし は土筆のことで、春の季語

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