阿波踊りの至宝 安藤正会さん他

音楽

アイキャッチ画像はサンケイ新聞より拝借しました。乞う御免。

8月も残り少しだというのに毎日殺人的な暑さが続いており、交通事故の後遺症で神経症状が残る私はエアコンを使うと体調を崩すことから、汗だくになりながら熱中症にならぬよう、毎日水分と塩分の補給に気を使っている。早く初秋になって欲しいものだ。

今年は阿波徳島の阿波踊りが運営団体の大赤字により混乱を極めている。どうも徳島新聞やその子会社への随意契約で、甘い汁を吸い続けられたことが原因のように感じる。
現市長が四国放送(徳島新聞の子会社)のアナウンサー部長だったこともあって、この随意契約のカラクリを明らかにされる前に、観光協会の破産を申したて、証拠隠滅を図ろうとしたように感じる。

歴史ある阿波踊りを食い物にした連中は、次回の選挙で落とされるだろうし、今回蓋をしたつもりのものでも、2年後には追及されるだろう。その時の現市長を見てみたいものだ。

さて、阿波踊りはテレビニュースで放映されるものしか知らなかったが、今やインターネットのおかげで多くの動画が作成され、youtube に揚げられている。

今まで正に「不明」であったとしか言いようがない。唯々、伝統を継承してこられた方々に頭が下がる思いである。

地元に根づいた「盆踊り」が民衆に愛され続け、近年は各「連」ごとに独自の踊りも工夫され、今も発展し続けていることに心より敬意を表したい。

多くの動画や記事を拝見したが、中でも特に印象に残ったのが「誤茶平」(ごぢゃへい)の三味線と歌を担当されている「安藤正会」(あんどうまさえ)さんであった。

「ちょっとそこまで 天下御免の夏きたる! 安藤正会 」

物心ついたころには尊祖母様の三味線をさわっていたというのだから、正に阿波踊りの申し子とでも言えようか。大学生の頃に「阿波よしこの」を始めて録音された「お鯉さん」に弟子入りし、この難しい歌を習得されたことは正に僥倖であったと思う。

お鯉さんご逝去の後は、伝承者として引く手数多となり多忙を極められ、又、責任感も重なり、一時は「阿波よしこの」を歌えなくなられたという。
yomiuri online 阿呆の音色 世界に響け

事実、2011~2014くらいに録画されたものでは、音程が少々ずれるものがあり、当時心身ともに疲労の極みにあったのだろうと感じられる。

実は、私の叔母(故人)は幼少より筑前琵琶を習い、10代ですでに名取になっており、平家琵琶の演奏にかけては飛び抜けた才能を発揮していたという。しかし、余りの売れっ子ぶりに、ついに喉を傷め、全くと言ってよいほど声が出なくなり、第一線を退いたそうであった。
その後、結婚、出産を経て舞台には立たなかったが、ごく近所の人たちには演奏を聴いていただいていた。この頃にはすでに喉も回復し、以前より綺麗に高音が出るようになったと聞き及んでいる。
中年で脳梗塞を患い、その後琵琶を演奏することはなくなったので、録音したものは「敦盛」ただ一つしか残ってないが、誠に見事な演奏だった。

今回の安藤さんの記事を読むと、同じようなことだったのだろうなと感じる。

2016~2017年の動画では裏声にならず高音が綺麗に伸びており、音程も安定しているので、演奏者として一つ山を超えられたように思う。特に2016/08/12に録画されたものは、音程も申し分なく、 youtube に挙がっている中では最高の出来だといえる。

20160812 徳島阿波踊り娯茶平ーよしこのー安藤正会さん

若いお弟子さんもおられるようだし、阿波の伝統芸能継承者として、今後益々ご活躍を期待したい。
三味線の演奏技術も素晴らしいものを持っておられるので、これから20年位が一番円熟してゆく時期になるだろう。

私は若いころ尺八を習得し、地唄・民謡などの演奏をしていた。当時長唄の三味線引き(杵屋の名取)が知人におり、アルバイトで民謡の演奏もしていたので、一緒に演奏することがよく在った。
だから耳は肥えていて、洋楽はドレミで音階が浮かび、地唄・民謡はロツレチリの音階で頭に浮かぶ。所謂「移動ド」の相対音感を持っているので、お琴や三味線の調律を良くしたことがあった。
不思議なことに、長年演奏されている方でも、この調律が苦手な方が結構多くおられた。

「バン」と撥を入れただけで、その方の技量は判るし、演奏途中に音締(ねじめ)を調節できるかどうかでその方の音感が判る。安藤さんは正しく一流の演奏家だと思う。

女踊りを芸術の域にまで極められた「四宮賀代」さん、その他囃子方の皆さんを見ていると、今後もますます発展してゆくだろうと思う。地元に根付いた伝承を持つ地域にお住いの方は幸せである。

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