今日は彼岸の中日。菩提寺へは18日の彼岸会法要で卒塔婆供養をして頂くためお参りしているが、墓所への献花はお中日にしているので、ちょっと大きめの墓所用のお花を買って、ご先祖に挨拶してきた。
若いころは春秋の彼岸と言えば、連休になるので遊びにゆくいことしか頭には無かったが、この年になって来ると、もう元気に動き回る気持ちが沸かない。
まんがサザエさんはいつも子供に見せていた。春秋の彼岸会、夏の施餓鬼法要などの時にお墓参りをされるシーンが必ず出て来る。日本人の心を良く表現されていると感心はしている。
然し、長谷川町子さんが育ってこられた環境の中には、菩提寺にて法要を営む時に参拝し、卒塔婆供養をして頂くということが、経験として無かったのであろう。これは漫画の中に出てこない。
江戸期までの農村部や、城下町にお住まいであれば、必ず菩提寺がある。これは国策として寺に宗門改めをさすことで、今で云う戸籍謄本を作らせていたと言っても良いと思う。
人々の生活は菩提寺とは切り離せなかったのであるが、明治になって人々の移動が容易になったこともあり、東京、大阪、名古屋、など、大都市に工業が発達し、それに伴い各地から労働力として人が移動してきた。
その人たちが生涯を終えた時、葬儀をしてくれるお寺、墓所を新たに探さねばならない。
こうし出来たのが、市営の霊園墓地である。然し、これも流入人口が墓所の提供を遥かに上回り、都市部の寺院でも境内に墓石を建てられるようにしておられるが、あっという間に一杯になり、郊外の丘陵地などに民間業者が宗教団体と提携して大きな公園墓地を作るようになった。
サザエさんを見ていると、ご先祖のお墓は公園墓地にあるように思える。
墓石が一基だけなのが可笑しい。波平さんのご先祖様は武士だった設定だが、それなら江戸期よりの墓石が少なくとも数基、江戸初期からあるのなら10基はなければならない。
ご分家ならわからんことはないが、ストーリーの中では本家を訪ねるというシーンはなかったと思う。そうなれば、武士の直系子孫ということになる。
恐らく、長谷川町子さんは武士出身の方とお知り合いが無かったのであろう。
私はサザエさんは日本の季節ごとの伝統行事とちゃんと取り入れて、素晴らしい漫画であることは十分承知し、尊敬しているが、これだけは大失敗だと言える。